りえぞの・今宵も作でひとりごと♪

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help リーダーに追加 RSS お燗番とは。亀専務の教え

<<   作成日時 : 2008/01/31 10:06   >>

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 私たち夫婦が純米酒に目覚め、店で扱う全ての日本酒を純米に統一しようと
決めたのは、神亀酒造の小川原良征専務、通称「亀専務」と出逢ったことが,
キッカケでした。
 埼玉県蓮田市で、全国に先駆けて、神亀酒造は蔵で造る酒を全量純米に
したのです。それは困難な道で、そのいきさつについて詳しく書かれた著書も
出版されています。
画像

(闘う純米酒/上野敏彦著/平凡社) 
 毎年一度は必ず神亀酒造に訪問させていただきたいマスターはしもと(主人)
と私は、今年も是非伺いたい旨をお蔵にお電話したところ、
ある方の取り計らいもあり、1月28日月曜日に訪問することが決まりました。
もちろん長居するつもりはなく、専務のお顔を少しでも拝見できれば、
お蔵の空気を感じることができれば、とのつもりでおりました。
 がしかし、思いがけないことに、専務がお迎えする遠方からのお客様たちの
ために設けられた川越のとある場所での昼食会に、私どももご一緒することと
なったのです。

 12名で貸しきられた広いお座敷の一角に、お燗をするスペースがしつらえて
ありました。
 コンロの上には亀専務持参の、使い込んで味のあるヤカンに大小のお銚子。
そして、そうそうたる神亀酒造のお酒たち!!
 滅多に口にすることができないお酒もあり、否が応でも興奮してしまいます。
画像


 そして、「今日のお燗番は誰だ?」との専務の問いかけがあり―――

 ややあって私… 不肖りえぞがその役割を仰せつかることに…
 皆さんに元気よくご挨拶したとたん、現実を把握して血の気が引いていきました。
 
 でも、こんな機会、滅多にあることではありません。
 何としてでもやりとげなければ。
 専務から「まずは大吟譲を」と言われ、「温度はどのくらいで…」と尋ねます。
「39度」と、一言。さんじゅうきゅう… そして私の目はあるものを探します。
そう、酒燗計(お燗を測る温度計)です。しかしどこにも見当たらない。
「あの〜〜 酒燗計は…」「そんなもんあるか」
 無常なひとこと。えええええーーーー 温度計も無しにどうやって39度を
見計らうのか。血の気はどんどん引いていきます。
 マスターはしもとが思わず傍に来て手助けしようとしたところ、
「いちいち手を出してはいかんなあ。そんなことではいつまでたっても出世しないぞ」と、
また無常なひとこと。
 出世… 今考えるとそれは、主人のことを言っているのかそれとも私のことなのか、
イマイチ把握できていないのですが、何だか?納得。。
 でもやっぱり手でお銚子触って39度ピタリできるレベルではありません。怖くて
温度を上げられずにいると、案の定、ぬる過ぎ。。。
 皆さん乾杯を待っておられたのでそのときはそれで許されましたが、さてその
あとはどうしよう。

 そのときマスターはしもとがそっと私に近づき、手渡したものが。
 しゅ、酒燗計ーーー!!! 
 厨房から借りてきてくれたのだと… 思わず、普段は滅多に言わない「心からの
ありがとう」をマスターに。専務は遠くから様子を見ていて何だかにや、っと…
 色々見透かされているのだよなあ(汗

 大吟醸の次はことりのさえずりを「41度で」。酒燗計があると思うとホッとして
今度はうっかり上がり過ぎ!「40度を越すとお燗は急に上がる速度が早くなる」と
以前、お燗の師匠と(勝手に)仰いでいる、小森谷さん(現在は奈良の久保
本家という酒蔵に所属しておられます)から教わっていたのに…

 それで、周りから「せっかくなんだから食べないと」と言われていた昼食も
ろくろく手に付けずお燗とにらめっこしていたら、
 専務にびしっとこう言われてしまいました。

「ただ温度計を睨んでいるなんて、そんなのお燗番でもなんでもねえ。お燗番は、
訪れた客に笑顔で挨拶して、その客の様子を見て、元気であるか、風邪でも
ひいていないか、そういったことを把握した上で、今日はどんなふうに酒を
出していくか、常に状況を知り気を配る。それがお燗番の仕事ってもんだ」

 専務から言われたこのひとことは、おそらく一生忘れることができないでしょう。
 店でも私はよく温度計とにらめっこしています。本当に、どうして今まで
そういうことに気が付かなかったのかと、衝撃とともに恥ずかしさが押し寄せて
きました。今までの私はお燗番でもなんでもなかったんだなあ。

 そしてこのひとことで、妙なことですが逆に楽になったというか、
「もともと半人前とわかっていてこういうコトをさせてもらっている」と考えました。
 それならば気を張らずにお燗そのものを楽しむべき、目の前で専務が勧めて
くれている食事との合わせ方などを楽しむべきだと思いなおしました。
画像

 そして最後の料理が出る頃になり…
「これには、神亀純米と小鳥のさえずりをブレンドで」との指示。
 う〜〜〜〜〜〜ん
 コップで測ってきっちり半分づつお銚子に入れて、温度は…
神亀純米が60度超とのことだったし、ことりは41度だったし、
…なら50度まで上げて2,3度落ちてきたところがいいかなあ。我ながら超アバウトだ…。。
 丁度お料理が運ばれてきたので専務の前にお銚子を置いて、びくびくしながら
遠くから見守っていたところ、おもむろにそれを手酌で杯にそそぎひとくち。
 ふうんといった感じに軽く頷くような?仕草に見えた(楽観的か)。
 褒められもしないが叱られはしなかった。今の自分は、勝手にそれを
及第点と捉えて、励みにしてこれからも頑張ろう。

 相変わらず緊張して話らしい話もできませんでしたが、
お燗というものを通じて、また大きなことを専務から教わりました。

 小鳥のさえずりと神亀純米のブレンドは、近く作でも提供していく予定です。
 どの割合や温度帯でどう味わいや印象が変化していくのか、把握できてから、
自信を持っておススメしていこうと思っています。 


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りえぞの・今宵も作でひとりごと♪
2008/05/28 15:55

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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
とても貴重ですばらしい経験をしてきたのですね。
読んでいるとりえぞさんの緊張が伝わってきて
こっちまでどきどきしましたよ!
「小鳥のさえずりと神亀純米のブレンド」
今からたのしみにしてますー♪
yumita
2008/01/31 17:47
そうしてどのアテにどの酒が合うかを見極めて…。
開店前に試食と試飲で自分だけ終わらないように。(笑)

そうそう、専務のお名前、今は「良征」氏ですよ。
燗酒おやぢ
2008/01/31 19:39
お燗プロへの道の手ほどきをお受けになったようで、本当に貴重な体験をされましたね。
音楽の歌唱の世界でも、中東あたりにはクォータートン(4分の1音階)のレベルでこぶしを回せる人がいるそうな。りえぞさんも、そのうち0.1度単位でお燗を操る達人になるかもしれませんね。
こじこじ
2008/01/31 22:53
「専務、的確なこと言うなぁ。」とその時ちょっと尊敬しました。
お酒のプロになるべき人には専務のアンテナもぴぴっと立っているんだなあ。

お燗の達人への第一歩を踏み出された場面にご一緒できたこと、本当に嬉しいです。
ことり
2008/02/01 09:12
はじめまして、川越の隣の市に住む神亀好きです。
良いお話を読ませていただきました。ありがとうございます。
小鳥と神亀純米ブレンド、是非飲みたいっす!
それにつけても、ヤカンすごいですねえ。なんだか「神亀ヤカン」として記念物になりそうです。
コタ
2008/02/01 21:31
>yumitaさん♪

 本当に貴重な経験をしてきました。緊張以上に
ものすごく興奮していましたね。初めて神亀酒造に
伺って小河原専務にお逢いしたその日が、新しい
スタートへの道しるべになりましたから… 
 小鳥のさえずりと神亀純米のブレンドは、じっくり
いろんなこと試してみて、デビューさせますね♪
りえぞ
2008/02/03 00:15
>燗酒おやぢさま♪

 おやぢさま、まずはご指摘ありがとうござい
ました(ペコリ)
 このブレンドに合うアテは、幅はありそうですが
「これ!」って絞るのが難しいです。専務の言葉を
ヒントに居酒屋でも出来る再現性を探求しています。
りえぞ
2008/02/03 00:33
>こじこじさん♪

 わお!こじこじさん、いらしてくれて嬉しいです!♪♪
 四分の一音階、って… 試しに声を出してみまし
たが、…無理ですね…(当たり前)
 そして0・1度でのお燗を操れるには、、、、、
経験を積みに積んで、その域に到達できたその日
には、こじこじさん、朝まで呑ませますよ!いしし。
 励ましのお言葉、本当に有難うございます。

 
りえぞ
2008/02/03 00:50
 >ことりさん♪

 ことりさん、お逢いできて本当に嬉しかったです。
 落ち着きのない自分には、ことりさんから
教わったことがたくさんありました。
 ことりさんがいつか「りえぞちゃんもちゃんと
お燗番に成長したなー」と思って、安心してお呑み
になられるよう、精進していきます。
 亀専務から、ああしてはっきりものを言って
もらえたのは、すごい意味があると思っています。
 見込まれたと思って(ポジティブシンキング)、
絶対に教えを目標としていきます。


るよう、

りえぞ
2008/02/03 01:03
おお、なんかすげえ体験ですねぇ。
いつか角が取れてまろやかな味が出る”女将”になる序章ってところなんでしょうか。
目が離せません(笑)
のむりん
2008/02/03 01:09
 >コタさん♪

 コタさん、初めまして!コメント有難うござい
ます♪ 神亀ファンの方とまたこうしてお知り合い
になれて、ブログ始めてよかったーー!!って
思います。
 ブレンドは本当に次の扉を開けてくれた感覚
でした。「神亀酒造のお酒」を、まぜまぜにして
よいものか今までは試すこともしていませんでし
た。畏れもありました…
 しかし亀専務御本人からご指南いただいたの
ですから、このブレンドは自信を持って楽しむ
べきだと思いました。コタさんも是非とも楽しんで
みてください! やかんは普段専務が愛用して
おられるお燗道具だそうです。素敵ですなあ…
文化財!?
 
りえぞ
2008/02/03 01:21
 >のむりんどの♪

 角はねえ… なかなか取れないのですよーーー
 目を離さないでくださいねっっ!!(笑
 いつの日にか、まろやか〜〜〜〜 になって
みせますから(大爆笑
 それにしても未だに思い出すと夢見たいです。
りえぞ
2008/02/03 01:27
りえぞぉぉ〜〜!頑張っているねぇ。もう涙でてくるだよ!
専務のお言葉はごもっともだし凄いなぁと思う。さすがだね。
けど、今のりえぞはそのままのりえぞでいいんだと思うよ〜。理屈ではなく体で『お燗』を覚えていくには時間と鍛錬と経験が必要でしょう。これはひとつの『芸』なんだもの。『芸は一日にしてならず』だもの!
私も日本舞踊はじめてそろそろ16年目なんだけど、ようやくスタートに立てたような気がするの。体の中に叩き込まれた実感をようやく感じられるようになった。だから積み重ねしかないんだよね!後は不断の努力。真摯に!
お互い頑張ろう!応援してるぜ〜。
あっき
2008/02/06 15:10
亀専務はシャイだから、なかなか面と向かって褒めてはくれません。
でも、良かったですね。貴重な経験ですね。
三平
2008/02/08 01:34
 >あっきさん♪
 
 もうもう、今頑張らばなければいつ頑張るのー!!っていう感じではありました… たはは…
 専務には初めてお逢いしたときから、色々なことを
無言のうちに教えてもらっていましたが、今回は直接
言葉を投げかけてくれたので、とっても嬉しかったし
内容も思いっきり心に響きました。でも確かに、お燗の道は一朝一夕にはいきませんよね。そうかー、これ
も芸のひとつ、積み重ねが必要、納得です。。
 16年続けてきた日本舞踊、「やっとスタート時点に
立てた」と思うあっきさんの心持、今のどうしても
駆け足になってしまう自分に、大きな影響を与えて
くれました。本当に、お互い頑張ろう!!有難う!!
りえぞ
2008/02/11 03:58
 >三平さん♪

 確かに、面と向かって人を褒めている亀専務、
って、まったく想像できないです…。
 本当に、よい経験をしました。ますます専務のこと
尊敬しましたし、この方にいつか認めてもらいたいと
思う気持ちが、パワーを産んでくれそうです。
りえぞ
2008/02/11 04:13

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