りえぞの・今宵も作でひとりごと♪

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zoom RSS 忘れてはいけない

<<   作成日時 : 2010/12/09 03:16   >>

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 ある日の昼下がり。いつも通りに店の御掃除をしていたら
とても好きなお酒の蔵元さんから気まぐれに電話を頂いた。

 なんでも、夕方から都内の大学で講演を頼まれていて、
これから上京するのだけど講演までの暇つぶし(笑)に、
お茶でも飲むか?というお話でした。
 
 ややあって、
 結果的にはお茶ではなく、お酒になってしまいました…。
 講演… 大丈夫なのかしら… って思いながら、つい、
杯にお酒を注いでしまう私。途中から、
「自分でやるから、いい!」と
杯に手でふたをされてしまった。スミマセン…

 ほどなくして、高田の馬場の日本酒の銘店の御主人も
顔を出されました。

 人生を懸けて、30年以上にわたり、日本酒の品質の向上、
日本酒業界の向上に取り組んできた蔵元さんと、
そうして大切に造られた日本酒を心を込めて最良の形で
提供することに情熱を注いできた銘店の御主人との、
長きにわたる仲。
 ふたりのしみじみとした、静かな会話。

 私には到底口を挟むことなんて出来ず、
ただ、ただ相槌を打っていました。
 この場にいられるだけで、とても嬉しくて、ありがたくて、
感謝の気持ちが湧きあがります。

 そして、蔵元さんが一番苦労をなさっていたときの、
厳しい時代の頃のことについて、話は及びます。
 淡々としたその語り口調に、かえって胸の痛みを覚えました。

 大切に醸し、苦心して熟成させてきたお酒を、
分析という目的だけで何本も持ち去り、口にもせず廃棄する税務署。

 「この酒、いったいどんな味になってんだ?ちょっと飲ませてみろ、」
 …って、そんな理由だったら、いくらでも持っていっていいのによ」

 そう話す蔵元さんの横顔を、私は、
何も言うことができず黙って見つめていました。
 
 ストレスでとうとう大きな神経経路を断絶してしまう、
そんな長い長い苦しみの日々の中で、それでも頑なに
自分の考えを曲げずに闘ってきたその方が、

いま、多くの明日をも知れなかった蔵を再び造りの日々に
立ち戻らせたことは、多くの日本酒ファンに知られていることです。

 そして、なかでもとても印象に残っている話があります。
「甲州屋が逝った年に、本当に色々なことが重なった…」
 甲州屋さんとは、日本酒を取り扱うお店のなかで
その存在の大きさが語り継がれている方です。

 もちろん私は、逢ったことはありません。
 大きな、おおきな人物だったのだろう、とただ、想像をします。

 時代を切り開いてきた方たちの苦労、
本を読んだだけでは実感として分からなかったそのことを、
改めて考えさせられた。そんな、ひとときでした。
 
 短かったけれど、この時間のことは、
日本酒が好きである限りずっと忘れないだろうと思いました。

 忘れてしまってはいけないのだ。
 今こうして美味しい純米酒のお燗を当たり前のように飲めるのは、

 苦労と忍耐の積み重ねの日々を
 折れずに突き進んできた方たちが、
 いてこそなのだと、いうことを。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
全く同感します。そしていまでも厳しい状況は変わりませんねえ。
けーすけ
2010/12/09 23:50
 けーすけさん、ありがとうございます。そうなんですよね、日本酒を取り巻く環境はまだまだ理想とはほど遠いように感じています。
りえぞ
2010/12/11 10:28

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